叱らないこと

人間の感情は猫には通用しません。我々にとって嫌なソマリの行動は、決してソマリにとっては嫌な行動ではないんです。ですので、いくら「やっちゃダメ」と叱っても、猫側には理解できませんし悪いことをしているつもりは一切ないということを念頭に対処するようにしましょう。だからといって、猫を叱らないことはこちらが我慢することではありません。ここではまず、間違ったしつけ(叱り方)をご紹介した上で、日々の対応法をご紹介します。

ゆとり好き

間違った6つのしつけ方

1.名前を呼んで叱る

呼んだら名前に反応するかもしれませんが、「この行動はやめたほうがいい」とまでは分かりません。なかには、嫌な思いと名前がセットになってしまい、名前を呼んでもこなくなってしまう猫もいます。

2.怖い目で見る

目を見ることは親愛の印の場合もあり、猫にとっては普通の時と変わらないかも。また、猫は人間の細かな表情の区別があまりつきません。視力よりも聴覚を使って訴えた方が効果的です。

3. ぶつフリをする

ぶたれた経験が無ければ、痛いとも怖いとも思わないので、あまり効果はありません。逆に普段ぶたれた経験があれば、ぶつフリだけでも恐怖を感じ、飼い主=怖いと結びついてしまうこともあります。

4.実際にぶつ

痛みを伴うため罰の効果があり、その行動はしなくなるかもしれません。しかし体罰は、飼い主との嫌な思いが一番結びつきやすいことです。飼い主の手を嫌い、信頼関係が築けなくなる危険性もあります。

5.大きい声を出す

猫は飼い主の口調から何かを咎められている雰囲気は理解できても、「ダメ」「コラ」という言葉の意味まではわかりません。「これはやらないほうがいい」と猫に理解させるには聴覚+αが必要です。

6.ケージに入れてしまう

罰としてケージなどを使っていると、そこに入るのが嫌になってしまう心配があります。普段使っているケージやキャリーを罰に使うのはNGです。興奮して人を攻撃する場合等、落ち着かせるために入れるのは問題ないです。

仲良く

日々の4つの対応法

猫の性質を利用した、上手なしつけ方をご紹介します。これを日々実行していれば猫の困った行動も改善できるはず。簡単なので、実践してみてください。

1.習性は抑え込まず、なるべく環境で対応を

家具で爪とぎをしてしまう場合、「ダメ」と言われても猫は爪とぎをしないわけにはいきません。その家具がある部屋に猫が入れないようにしたり、爪とぎをしてもいい場所を作ってあげたり、猫の目線で環境を整えて解決できる問題は解決できるようにしましょう。

2.猫に自分で分からせる

びっくりさせられる等の「いやなこと」も、ご褒美等の「いいこと」も、猫が自分でした行動に対し起こらなければ効果がありません。抱っこしてテーブルから下ろすのではなく、自分で下りてきたらご褒美をあげる等のリアクションを取ることがポイントです。

3.態度は一貫させること

たまにでも「いいこと」があると、なかなかやめることができないのは動物共通の習性。例えば猫がテーブルに乗った時の家族の対応がまちまちで、叱る人がいる一方で食べ物をあげる人がいたりすると、猫はもう一度「いいこと」があるのではないかと、同じことを繰り返します。

4.現場を押さえて対応を

猫をびっくりさせてやめさせる方法があります。しかし、それは猫が困った行動をした瞬間でなければ効果がありません。何秒、何分と時間が経つほど、自分の行動とびっくりしたことの結びつきは薄れてしまうからです。ですから、留守中の行動を帰ってから叱っても意味がありません。

 

どうですか?叱らない叱り方。やっぱり根気が必要ですよね。でも仕方ありません。生物が違うんですから。お互いストレスなく、愛情を持ち合いながら共生していく以上じっくりと向き合いながら“愛ありきで”しつけていくことが重要ですね。

(学研パブリッシング「うちの猫のキモチがわかる本」よりご紹介)