消化器系について

突然ですが、ロイヤルカナン ジャポン株式会社より発行している「犬と猫の栄養学の基本」(ドミニク・グランジャン教授 編)という小冊子に面白い表がありましたのでご紹介します。先日のキャットショーで無料配布していましたので手にしてみたところ、犬や猫の「食(栄養素)」に関する様々なことが書かれていました。今回は、その中でも消化器系における人間と猫との生理学的違いについて抜粋・紹介したいと思います(小冊子には犬も入っていましたが、ここでは割愛しました)。

人間も猫もその基礎生理や食物の違いにより、それぞれ特別な栄養要求を持っているとのことで、さらにはペルシャ猫とシンガプーラを比較しても必要な食事内容は微妙に異なってくるそうです。もちろんソマリにも固有の食事内容があるとは思いますが、おそらくボディタイプ毎に異なると思いますので、フォーリンタイプ向けの食事が良いとは思います。

小冊子では「人間の擬人化しようとする本能的な感覚をそのままにした場合、伴侶である動物の健康を害してしまう恐れがあり、それは好ましくないので、こうして表によって個々の相違点を示している」とのことです。つまり、人間の思い込みで栄養素を考えて猫にあげても、それは必ずしも猫にとって良いわけではないよ、ということですね。良い例がミネラルウォーターとかですね。あれは猫にはミネラルが強すぎるんですよね。

人間と猫の消化器系比較

項目 ヒト ネコ
鼻粘膜の表面積 約2~3c㎡ 約20c㎡
嗅覚細胞 約500万~2,000万個 約6,000万~6,500万個
味蕾(舌の味覚を感じる所)の数 約9,000個 約500個
歯の数 32本 30本
咀嚼に必要な時間 長い 咀嚼しない
唾液中の消化酵素 あり なし
食事を摂っている時間 約1時間 多数回に渡り少量ずつ摂取
胃の容量 約1.3ℓ 約0.3ℓ
胃のpH 約2~4 約1~2
小腸の長さ 約6~6.5m 約1~1.7m
大腸の長さ 約1.5m 約0.3~0.4m
腸内細菌叢の密度 約10,000,000/g 約10,000/g
食物が腸内通過するのにかかる時間 約30時間~5日間 約12~24時間
成長した個体における炭水化物必要量 乾物中の約60~65% 非常に少ない
成長した個体におけるタンパク質必要量 乾物中の約8~12% 乾物中の約25~40%
成長した個体における脂質必要量 乾物中の約25~30% 乾物中の約15~45%
食性 雑食性 肉食性

 

どうですか?専門的なところは分かりにくいですが、興味深いところもあったかと思います。

大人の猫