マッサージのしかた

接し方において、猫との絆をより深めるスキンシップ。そのスキンシップを兼ねてここではマッサージの仕方をご紹介します。別に特別なテクニックを必要とするようなマッサージではなく、なでる動作の延長のイメージで結構です。毎日5分程度で良いのですが、猫がイライラしている時や熱がある時を避け、猫の気持ちが平静の時に行ってみてください。

簡単マッサージのご紹介

背中

背中は手を櫛に見立て、首から尾の方向へと毛並みに沿ってやさしく撫でていきます。最初はゆっくりと、慣れてきたらだんだんとスピードをあげてみましょう。血行促進に効果があります。「これからマッサージを始めるよ」という合図にもなります。背中を触った時に痛がったら、尿路結石や下部尿路疾患の疑いがあります。他にもフケや傷のチェックも行ってください。

全身

猫の背中には「督脈(とくみゃく)」という経絡が流れています。その上にはたくさんのツボがあるので、督脈の流れに沿って皮膚を引っ張り上げていきます。5~10回くらいピックアップしてあげてください。皮膚の戻り具合やむくみ等をチェック。戻りが悪い時は、脱水症状等の可能性もあります。

背中と全身

 

足の先

足の先にはツボがたくさんあります。まず、指の付け根を軽く押して、1本ずつ爪を押し出すようにしてマッサージしていきましょう。同時に肉球や足の裏も押してあげます。このようにして、4本の足全てを行いましょう。爪が割れていないか、伸びすぎていないか、何か刺さっていないか、腫れているところはないか等を注意します。

腰から足先へ向かって筋肉や腱をもみほぐします。人差し指と中指でゆっくりと「の」の字を描くように腰から股関節、そして足先へとマッサージします。後ろ足には太い筋肉や腱がたくさん走っているので、ゆっくり丁寧にしてください。お尻付近は触られるのが苦手な猫が多いので、強く押すのはNG。腰、ももの筋肉に異常が無いか、指を動かしながら観察します。もし痛がるようなら腰痛や関節炎かもしれません。

足と足先

 

肩こりの予防と解消に、親指と人差し指、中指を使って肩の皮膚をモミモミしてあげます。そのまま人差し指と中指で、肩から足先に向かって「の」の字を描くようにマッサージ。もう片方の手であごの下を固定するとやりやすいです。触った時に痛がらないか、肩や足の筋肉が硬直していないか、マッサージをしながらチェックしてみてください。

お腹

猫を仰向けにし、胃からお尻にかけて上下にさすってあげましょう。胃腸の働きをつかさどる経絡を刺激することで、そこを流れる気・血・水の流れが活発になり、胃腸の働きを整えてくれます。お腹や乳腺のハリやしこり、固いところがないか注意してください。また、脱毛等がないか注意して見てみましょう。

肩とお腹

 

ピックアップ

頬の皮膚をつまんで上下左右に引っ張り上げます。変な顔になるくらい引っ張ることによって、顔の筋肉がもみほぐされ、ストレス解消に効果があります。

鼻指圧

鼻の毛のある部分と無い部分の境目を、中指の腹を使って指圧するようにゆっくり押していきます。<ここにある「素髎(そりょう)」というツボは鼻の通りを良くし、鼻水を抑えたり予防したりできます。

耳マッサージ

親指と人差し指で耳の根元を左右からやさしくモミモミし、もう一方の手で耳の先を引っ張り上げて。耳には食欲をつかさどるツボや、胃腸や健康に関係したツボが多くあるので健康の保持、増進に効果大です。

こういった時に、歯槽膿漏等による口臭のチェックや目の異常、目ヤニ、鼻水等も確認してください。特に耳の場合は、耳アカがないか、臭くないかも確認してください。

顔のマッサージ

 

以上が簡単なマッサージのご紹介でしたが、触った時に猫が身体に力を入れたらそれは痛みがあるからと考えられます。骨折、腫瘍、傷等がある場合はマッサージを行ってはいけません。先天的な疾患がある場合は、かかりつけの獣医師と相談してその疾患に効果的なマッサージを行うようにしてください。他にも発熱時や感染症にかかっている時は避けましょう。押す強さは、猫の様子を見て加減してください。とにかく愛情ありきです。

(学研パブリッシング「うちの猫のキモチがわかる本」よりご紹介)

愛情をもって